「いくよ」、そう言うと私はマサルの部屋のドアノブに手を掛けた。ドアからカチャっという小さな
音が鳴る。私はミサキと眼を合わせる。ミサキの満面の笑みに私も思わずにやけてしまう。二人でわ
ずかに開いた隙間から部屋を覗くと、オレンジの豆電球が薄らと部屋を照らしていた。ベッドの上で
緑の掛け布団を抱くように寝ているマサルの背中が見える。机には夏休みの宿題か何かが山のように
積まれ、その横に学生鞄が
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