早朝、美佐子の夫の慎一は、あわただしく ト-ストとスクランブルエッグをコ-ヒでたいらげると妻の美佐子とは、ほとんど会話もなく会社へと行った。そういう生活が何年も続いているのである。夫は細身で、仕事しか頭にない真面目な男である。夫婦の間では、冗談めいた会話は全然なかったし、あまり笑うこともない。夫とは同じ職場で知り合った関係であった。一応社内恋愛であった。夫の母と美佐子の母が偶然、友人同士で、夫の
↧